2025年4月23日
環境配慮パッケージの失敗しない選び方
【担当者様必読】
環境配慮を考えるための基礎知識
SDGsやESG経営が注目される今、多くの企業の間で環境配慮型パッケージの導入が大きなテーマとなっているようです。
「環境に配慮したパッケージを導入したいけれど、何から始めれば良いのかわからない」
「選択肢が多すぎて、自社に合った最適な方法が判断できない」
「コストと品質のバランスを取りながら失敗は避けたい」
こうした悩みを抱える方は少なくありません。
環境配慮への取り組みは、もはや「やるかやらないか」ではなく「どうやるか」が問われる時代。その選択が企業のブランドイメージやコスト効率、さらには事業の持続可能性にまで影響します。
この記事では、パッケージ・印刷物の環境配慮に取り組む担当者様向けに、まず知っておきたい「エコ」の基本的な考え方と、パッケージの環境配慮が必要とされる背景、そして具体的な選択肢の一部(素材編)をご紹介します。
そもそも「エコ」とは? 環境配慮を考える4つの視点
「環境に優しい」パッケージを選ぶ前に、そもそも「エコ」をどのような視点で考えれば良いのか、基本的な考え方に触れておきましょう。製品や活動の環境配慮度を測る上で参考になる4つの考え方をご紹介します。
1. エコマーク
製品のライフサイクル全体(原料採取から製造、流通、使用、廃棄・リサイクルまで)における環境負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられるマークです。
2. SDGs(持続可能な開発目標)
「Sustainable Development Goals」の略で、「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会を目指すための世界共通の目標です。パッケージの環境配慮は、特にゴール12「つくる責任 つかう責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」、ゴール14「海の豊かさを守ろう」、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」などと深く関連します。
3. ライフサイクルアセスメント(LCA)
製品やサービスが、その原料調達から製造、輸送、使用、廃棄・リサイクルに至るまでの全段階(ライフサイクル)を通じて、環境にどのような影響を与えるかを定量的に評価する手法です。
4. 環境負荷の9項目(影響領域の例)
環境への影響をより具体的に評価するためには、さまざまな側面から捉える必要があります。LCAなどで考慮される環境影響領域の代表的な例として、以下のような項目が挙げられます。(※評価手法により項目は異なります)
・地球温暖化(CO2など温室効果ガス排出)
・オゾン層破壊
・酸性化(酸性雨の原因物質排出)
・富栄養化(赤潮などの原因)
・大気汚染
・水質汚濁
・資源消費(枯渇性資源の使用)
・土地利用
・生態系影響
CO2排出量削減だけが環境配慮ではありません。このように多角的な視点で環境への影響を捉え、トレードオフ(何かを良くすると別の何かが悪化すること)にも配慮しながら、総合的に環境負荷を低減していくことが求められます。
これらの視点を念頭に置くことで、「なぜこの素材を選ぶのか」「この設計にするのか」といった判断に、より深い根拠を持つことができます。では、具体的にどのような環境配慮パッケージの選択肢があるのか見ていきましょう。
なぜ今、パッケージの環境配慮が必要なのか?
1. 地球規模の環境問題の深刻化
気候変動による異常気象の頻発、限りある資源の枯渇、プラスチックごみによる海洋汚染、生物多様性の損失など、地球環境はさまざまな課題に直面しています。パッケージは製造から廃棄に至るまで、これらの問題と深く関わっており、負荷低減への貢献が求められています。
2. 社会からの期待と要請の高まり
環境問題への意識が高い消費者が増え、製品選択の基準として「環境への配慮」を重視する傾向が強まっています。また、投資家も企業の環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)への取り組みを評価するESG投資を拡大しており、企業に対する社会的な要請はますます高まっています。法規制の強化も世界的な潮流です。
3. 企業にとってのメリットとリスク管理
環境配慮への取り組みはコストではなく、企業価値向上に繋がる投資と捉えられています。ブランドイメージの向上、新たな顧客層の獲得、従業員のモチベーション向上、技術革新の促進、そして環境規制や社会からの批判といったリスクを回避するためにも、積極的な取り組みが不可欠となっています。
つまり、パッケージの環境配慮は、地球の未来を守るための「責任」であると同時に、変化する社会の中で企業が持続的に成長していくための「戦略」でもあります。
環境配慮パッケージの選択肢
<インキの選択肢>
バイオマスインキ:植物由来資源を原料の一部に使用し、CO2排出量削減に貢献
植物油インキ:大豆油や亜麻仁油を使用してVOC(揮発性有機化合物)の発生を抑制
ノンVOCインキ:VOCをほとんど含まない環境配慮型インキ
水性インキ/UVインキ:用途や印刷方式によっては溶剤使用量を削減可能
<紙・板紙の選択肢>
FSC®認証紙:適切に管理された森林の木材を使用した紙
再生紙:古紙を原料として使用(配合率や品質は多様)
非木材紙:バガス(サトウキビの搾りかす)、竹、ケナフなどを原料に使用
軽量紙/薄物コート紙:紙の使用量削減と輸送効率向上に貢献
<フィルム・プラスチックの選択肢>
バイオマスフィルム:植物由来資源を原料とするフィルム(PLA、バイオPEなど)
再生プラスチック:使用済みプラスチックをリサイクルして使用
紙製バリア素材:紙をベースにバリア性を持たせた素材でプラスチック使用量を削減
<設計・加工(どう作るか)>
軽量化・薄肉化:素材使用量の物理的削減と輸送コスト削減
モノマテリアル設計:単一素材でパッケージを構成してリサイクル性を向上
リサイクルしやすい設計:ラベルを剥がしやすくしたり分別しやすい構造にする
易解体性:消費者が容易に分解・分別できる設計
<認証・仕組み(どう証明するか)>
各種認証マーク:FSC®、バイオマスマーク、再生材利用マークなど
カーボンフットプリント:製品ライフサイクル全体のCO2排出量を算定・表示
サプライチェーン管理:原材料調達から廃棄までの環境・社会配慮型管理体制
単にバイオマスを使えばいいFSC®認証紙なら間違いないと安易に考えるのではなく、それぞれの特性やメリット・デメリットを理解することが重要です。
まとめ「最適な選択は簡単ではないからこそ」
ここまで、「エコ」の基本的な考え方、環境配慮の必要性、そしてパッケージに使われる「素材」の環境配慮の選択肢についてご紹介してきました。
「どの素材とどの設計を組み合わせるのがベストなのか?」
「コストや品質、必要な機能とのバランスはどう取ればいいのか?」
自社の製品特性やブランドイメージ、サプライチェーンの状況などを踏まえ、数多くの選択肢の中から本当に最適な「解」を見つけ出すのは、決して簡単なことではありません。
弊社は、バイオマスインキ、FSC®認証紙、バイオマスフィルムといった環境配慮素材の取り扱いはもちろん、長年培ってきた幅広いサプライヤー様との強固なネットワークを活かし、お客様一人ひとりの多様なご要望に合わせた最適なパッケージ・印刷物のご提案を得意としています。ぜひ一度、弊社にお気軽にご相談ください。専門知識を持つスタッフが、貴社の課題解決に向けて丁寧にサポートいたします。
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ラベル: エコ素材